Merrell(メレル) ベイパーグローブ5(VAPOR GLOVE 5)のレビュー

メレルべパーグローブ3レビュー

私の中では、ベイパーグローブシリーズこそベアフットシューズの最高傑作です。

シリーズの第5弾、ベイパーグローブ5では、それまでと大きくデザインが変わり、足へのフィット感がより高まりました。

ベアフットシューズと言えばビブラム 5フィンガーズが有名ですが、使いやすさ、ホールド感を総合的に考えるとベイパーグローブのほうが優れているといってよいでしょう。

靴底にはもちろんクッションはありませんが、内部の周囲には柔らかい生地を使うことで、ホールド感を高めつつ、足の自由度を妨げないよう工夫されています。

5からは、内部の生地、シュータン(ベロ)の構造が変わり、以前よりホールド感が高まりました。

普段履きにも使いやすく、これなら常にベアフットシューズで過ごせます。

ソールは十分な屈曲性と薄さ

屈曲性

(かかと)周辺は厚みがあり柔らかい。しっかりした芯があり、ホールドが強い

ソール全体の柔軟性は申し分ないです。足の動きを邪魔することなく曲がってくれます。

アウトソールは若干硬めですが、グリップ力は強いです。アスファルトの路面でも土でもしっかりと食いついて、ベイパーグローブ3より強いように感じます。

ただ、濡れた路面では若干すべりやすくなるのを感じます。グリップパターンの隙間が小さすぎて水が抜けない感じです。それでも3よりは良くなっています。

5も安定のVibram(ビブラム)製ソールが使われていますが、Merrell(メレル)専用に開発された、ビブラムエコデュラアウトソールとなっています。メレル専用なので、ビブラム5フィンガーズにも使われていない、独自のアウトソールです。

アウトソール

ベイパーグローブ5の靴底。グリップは非常に強い。若干硬め。

インソール(靴底内部)とアウトソール(靴底外部)を合わせて6.5mmとかなり薄く、ビブラム5フィンガーズのV-Runより薄いです。そのためクッション性は全くありません。

慣れないうちは石を踏むと痛みはありますが、ケガをすることはありません。石を踏んでも痛くならない接地と足裏を手に入れるために、積極的に砂利道に挑戦しましょう!

環境に配慮したサステナブル素材を使用

自然を大切にするMerrell(メレル)らしく、各パーツにリサイクル素材が使用されています。アッパーには70%、シューレース(靴ひも)は100%、ライニング(接合部)には40%のリサイクル素材が使われています。

さらに、上述のアウトソール(靴底)、ビブラムエコデュラアウトソールにも30%のリサイクル素材が使われています。

フィットしすぎて裸足のようなフィット感・ホールド感

フィット感がすごい

足にぴったりフィットして、全くぶれない

フィット感、ホールド感がすごすぎます。ベイパーグローブ3のフィット感もかなり良かったですが、さらに上げてきました。低価格ベアフットシューズとは比べ物にならないのは当然。他の高価なベアフットシューズと比べてもワンランク上のフィット感です。

内部の柔らかい素材が足にぴったりフィットし、激しい動作でも靴がぶれることはありません。それなのに窮屈な感じはありません。

ホールド感の優れたシューズを履くと、内部で足がぶれることがないので、足が軽く感じますが、ベイパーグローブ5では裸足のように足が軽く速く動きます。全くぶれを感じないので、本当に裸足か靴下のように感じるほどです。

今までホールドに不満の無かったシューズでも、ベイパーグローブ5を履いたあとでは物足りなく感じてしまいます。フィット感とホールド力は、速く・正しいフォームで走るためには欠かせない重要な要素です。

ホールドが甘いシューズの場合、内側で足がぶれてロスが発生します。さらに、無意識のうちにずれを防ぐために足の動きを制限してしまいます。

例えば、サイズの合わない大きめの靴を履くと、足指の機能が衰える浮き指を招くことが明らかになっています。無意識のうちに靴のずれを防ごうとして、足指を使えない為です。

普段のシューズに不満が無くても、ホールドの優れたシューズに履き替えるとかなり走りやすく感じるはずです。

フィット感

シューレースの通し口、ベロにまでフィット感を高める工夫。

シューレース(靴紐)の通し口も布製にすることで、フィット感を高めています。金属のハトメのような足の甲への硬い当たりがなく、全体的に柔らかく包むようにホールドしてくれます。

シュータン(ベロ)は、通常のシューズでは独立したパーツですが、ベイパーグローブ5ではシュータン部分は靴と一体化しており、正確にはシュータンがありません

簡単に言えば、ベイパーグローブ5は靴下に靴底・靴ひも・外部の補強がついたような構造です。これが靴下や裸足で走っていると感じるような極上のフィット感を生んでいます。

フィット感

シュータン(ベロ)はシューズと一体化。

踵のホールド

足の入れ口も切れ目がなく、靴下のように足首にフィット

シュータン相当部分は柔らかく、足への当たりも優しいです。シュータンが一体化なので、足の入れ口も靴下のようで切れ目がなく、足首にぴったりフィットします。

踵のホールド

(かかと)にはしっかりした芯があり、足を受け止める。(かかと)周囲の色が違う部分(紺と青)はそれぞれ補強箇所

(かかと)はしっかり芯があり、スプリントでもずれることなく足を受け止めます。(かかと)周りの内部生地には厚みがあり、(かかと)を包むように支えブレを抑えています。

(かかと)周囲は外側からも補強(写真の紺と青の箇所)されているので、耐久性も高いです。低価格のベアフットシューズでは、生地の劣化で(かかと)の支えが弱くなっていくのが通常ですが、ベイパーグローブ5ではそのようなことはありません。

もちろん、(かかと)をつぶしてしまうと内部の芯が曲がってしまいサポートが弱くなるので、(かかと)は絶対つぶさないようにしましょう。

通常のランニングシューズなら(かかと)をつぶさないのは当たり前ですが、ベアフットシューズでは(かかと)に芯が無い物も多いので、(かかと)部の扱いに無頓着になる人もいます。
シューズの(かかと)部は足を支えてブレやロスをなくす重要なパーツです。スリッパ履きでつぶすのは厳禁です。

普段履きにも使いやすく、耐久力も満足

5本指や足袋(たび)型シューズはデザイン的に普段履きに使いにくい人も多いです。
また、普通の靴下では使えない、指を通すのに手間がかかるなど、使いにくい面があります。

ベイパーグローブは抜群の裸足感を実現しながらも、普段使いできる構造とデザインなので、普段の生活にベアフットトレーニングを取り入れることができます。

補強

壊れやすい部分は補強されている

親指・人差指の先、小指側の側面といった破れやすい箇所は外側から補強されており、かなりの耐久性があります。

冒頭にも書いた通り、ベイパーグローブはベアフットシューズの最高傑作だと思っています。一度でもこのシューズで走れば、「今までのシューズには戻れない」と、実感できるはずです。

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