杵屋 MUTEKI - 無敵のレビュー
足袋を製造している杵屋が作成した足袋型のベアフットシューズが「MUTEKI(無敵)」です。
ドラマ化もされた池井戸潤の小説「陸王」は足袋メーカーが足袋型シューズを開発するというストーリーでしたが、その陸王執筆のために池井戸潤が訪れたのがこの杵屋です。(ドラマ内では足袋型シューズは「陸王」と名づけられました。ネーミングの雰囲気も「無敵」と似ていますね)
MUTEKIは足袋の形状が注目されますが、それ以上に特筆すべきはアウトソールのゴムの柔らかさ。路面の細かな凹凸まで把握できます。
普段のシューズと同じサイズを買うと、約ワンサイズ小さいので注意しましょう!
- 総合評価:★★★★☆
- ホールド感:★★★☆☆
- 裸足感覚:★★★★★
- 使いやすさ:★★☆☆☆
- 耐久性:★★★☆☆
- ドロップ:0mm(つま先・踵の高さが同じ)
- 重さ:約185g(片方)
ソールの柔らかさがとにかくすごい!
柔らかさはNo.1
- 全体の厚み(地面から足までの高さ):7mm
- インソール:2mm(一体型で外せません)
- アウトソール:5mm
ソール全体の柔軟性は間違いなくベアフットシューズでNo.1です。路面の細かな凹凸までしっかり伝わってきます。裸足感覚はビブラム5フィンガーズを超えます。
裏側にも曲げられる柔らかさ
アウトソールのゴムがとにかく柔らかく、足指を握りこむと、靴底が下側に曲がるほどです。足指を自由に動かせるのが気持ちいいです。
親指も自由に動く
柔らかい靴底が地面をしっかりととらえるので、グリップはかなり強いです。
ただし、路面は選びます。例えば、廊下やコンビニの床のようなツルツルした床が濡れている場合は滑りやすいです。
MUTEKIの靴底。濡れた平滑面は苦手
これは平滑な面では柔らかさが効果を発揮できないのと、靴底がほぼ平面なので靴底と床の間の水が抜けない為です。屋外でも濡れた平滑な路面は注意が必要です。
生地が柔らかく足にぴったりフィットもホールドは弱め
踵は芯がなく包むような形。ベロは柔らかく厚みがある。ひもの通し口はハトメ
生地も柔らかく、足にぴったりフィットしてくれます。まるで靴下(足袋メーカーなので足袋というべき?)のように足にフィットして、実重以上に軽く感じます。
踵には芯がなく、踵のホールドは弱いです。
スローな動きであればこのフィット感で問題なくホールドされるのですが、スピードを出すと踵のホールドが物足りないです。スプリントでは内部で足が若干滑ります。
もしかしたら、アウトソールが柔らかいのも一因かもしれません。
靴ひもの通し口は残念ながら金属製のハトメです。シュータン(ベロ)が柔らかいのでハトメの違和感は気にならない程度ですが、ちょっと残念です。
耐久性はちょっと低め
良くも悪くも非常に柔らかいアウトソール
個人的には耐久性はそれほど低いとは感じませんでしたし、数百キロ走っても問題ないと報告している方もいます。一方で1ヶ月もたたずに糸がほつれたという人もいます。
近年のシューズは接着剤が基本ですが、MUTEKIは糸で縫い付けて作られています。接着剤より頑丈なはずですが、縫製である以上、バラツキは出やすいかもしれません。
アウトソールについては、非常に柔らかいので、すり減りやすいです。基本的には柔らかい物資ほど耐摩耗性が低い=摩耗しやすいので、物理的に避けられません(耐摩耗性は柔らかさだけで決定するわけではありませんが、最大の要因です)。
しかし、1ヶ月も持たないという方は、走り方に問題があるかもしれませんね(もしくはかなりの速度で走っている)。
このアウトソールが1ヶ月もたたずに使えないほどすり減るようなら、裸足で走った時、ソールより柔らかい足の皮は擦り切れているでしょう。
皮膚は再生しますが、皮膚の細胞の入れ替わりはおよそ40日、1ヶ月でアウトソールに相当する5mmは再生できないので、これでは人は裸足で走れないことになってしまいます。
長距離ペースで走るなら、正しく走れていれば数か月は持つはずです。
路上でのスプリントは摩耗が避けられないので、スプリント練習がメインの方にはおすすめしません。
機能は申し分ないけど、使いにくい
このデザインは好みが分かれる
MUTEKI、個人的には使いにくいです。
まず裸足か、5本指ソックス、足袋ソックスが無いと着用できません。私の場合、5本指ソックスでは布の厚みのぶん指が押し広げられほとんどのシューズが履けないので論外。裸足は靴が汚れるので避けるとなると、足袋ソックスを履かないと使えません。
あとは、このデザイン。日常使いできるかどうかは個人の好みですね。
サイズ選びは要注意!
MUTEKIのサイズは通常のシューズと異なりますので注意してください。メーカーも説明していますが、
- 足のサイズを実際にはかり
- 裸足で使う場合、測った値より5mm大きいもの
- 靴下をはく場合、測った値より7mmから1cm大きいもの
を購入しましょう。
大抵、普段使用しているシューズより0.5~1.0cm大きいものになります。普段のシューズと同じサイズで購入すると小さくて使えないので注意!