ベアフットランの注意点-ケガしない裸足走法

ベアフットランとは、
裸足、もしくはベアフットシューズをはいて走ることをさします。
正しいランニングフォームが身につけば、裸足でアスファルトの路面を40km走ることも可能です。硬い路面であってもシューズのクッションは不要です。
由緒正しいボストンでも、裸足で完走するランナーたちが何人もいます。
数本なら全力ダッシュでも問題ありません。私はスプリントトレーニングの一環として50mダッシュx5本、アスファルトの上で行いますが、5本程度なら痛みやケガはありません(ダッシュの速度は、100mを11秒台後半で走り切る程度)。
しかし、ベアフットで走るためにはいくつか注意点があります。
「裸足やベアフットシューズで足を痛めた」という人がいるのは、注意点を守らずに練習を積むからです。
例えば、野球のピッチングも指導を受けずに全力で投げ続けたら肩・肘を壊します。走りも同じこと。
以下の4つの注意点を守って始めれば、怪我無く始められ、次第に正しいフォームが身につきますよ。
やわらかい地面ばかり選ばない

柔らかい地面ばかりでは上達できません。硬い路面も積極的に走りましょう
ベアフットランをすると、硬い地面の衝撃でけがをするのではないかと不安になり、芝生などのやわらかい地面でばかり練習する人がいますが、これではランニングフォームは習得できません。
芝生と同じくらい、硬い路面でも走ってください。
硬い路面のほうが、柔らかく接地できたかどうかがわかりやすく、接地の練習に向いています。
特に砂利道は、柔らかい接地の確認に向いており、ベアフットランナーのケンボブ・サクソンはベアフットランを教えるときにはまず裸足で砂利道を走らせます。砂利道で下手な接地をすると痛みがあるので、自然にできるだけ柔らかく接地することを学んでいきます。
ただ、私は裸足で走る場合は、砂利道はおすすめしません。砂利道を走るならベアフットシューズを履きましょう。
日本の砂利道をいくつか裸足で走りましたが、大きめの尖った石が多くて歩くのもままならないことが何度もありました。
日本でよくみられる砂利道には工事用の砂利が使われています。工事用の砂利は人工的に石を砕いて作るので、尖った石ばかりで、ゆっくり歩くのも大変です。
それに対して、河原などにある自然にできた砂利は、角が削られて丸くなっているので、このような石が多い砂利道なら、慣れれば裸足で走ることができます。
ケンボブ・サクソンがどのような砂利道で練習をさせるのかわかりませんが、私の経験からは砂利道を裸足で走るのは止めたほうが良いです。
ベアフットシューズを履いても、正しい接地ができないと砂利道は痛いです。薄いゴム板の上から石を踏みつけたら痛いのは想像できるはずです。
正しい接地ができれば、圧力が足全体に分散されるので、砂利道でも痛くありません。接地を始める小趾球に体重が乗り切る前に、足前側全体が触れ、続いて足裏全体へと体重が分散されます。

釘の上でも痛くない
大量の釘の上に裸足で立つパフォーマンスがありますが、あれも釘全体に体重が分散されているので刺さりません。
砂利道でも、徐々に接地面を増やし、足裏全体に体重を分散することで、ケガすることなく走ることができます。
柔らかい芝生を走ることは悪くないですが、硬い路面や砂利道も避けることなく取り入れていきましょう。
- 裸足、もしくはベアフットシューズで硬い路面を走る
- 砂利道を走る場合はベアフットシューズ。裸足ならアスファルトや土の路面を選ぶ
砂浜は控えめに

砂浜のランニングには要注意。裸足+踵接地でも走れてしまいます
柔らかい路面の中でも、砂浜は特に注意が必要です。
砂浜でのランニングを取り入れることはもちろん悪くないのですが、初心者のうちは避けたほうが良いです。
砂が柔らかく接地で地面の形状が変えられるので、靴の厚みに関わらずどの部分からでも接地できます。
そのためベアフットシューズ、もしくは裸足であっても踵接地ができてしまいます。
また、地面が柔らかいので踵から強く接地(ヒールストライク)しても痛みを感じません。
しかし、ヒールストライクを続けると、砂浜であっても膝を痛めます。
踵接地時、脚にかかる衝撃は体重の三倍にもなり、砂で吸収しきれるものではありません。足裏表面は痛くなくても、膝が衝撃に耐えられません。
砂浜を走って膝を痛めるのは、よくある事例です。
どの着地でも出来て、痛みを感じづらい砂浜はフォームを身につけるのには適していません。
目的をもって、練習の中に砂浜ランを取り入れるというのはありますが、少な目にすべきです。
特に、初心者のうちはデメリットが多いので取り組まないほうが良いです。
最初は走りすぎに注意

最初は練習量を減らして。走りすぎには注意しましょう。
ベアフットランナー、ケンボブ・サクソンはベアフットシューズよりも裸足を推奨していますが、その理由は、「ベアフットシューズは走れてしまうから」としています。
ベアフットランの初心者は、足裏の皮膚、アキレス腱、ふくらはぎの筋肉、足底の筋・腱がまだ弱いので、今までと同じ練習量をいきなりこなすと負荷が強すぎます。
裸足の場合は足裏などに痛みが出るのですが、ベアフットシューズを履いていると、痛みを感じだすのが遅く、始めからかなりの距離を走れてしまいます。
これは私も経験しました。
かなりの負荷がかかるだろうと思って始めたのですが、案外走れるので、それまでと変わらないトレーニングを継続していました。しかしある日、アキレス腱に痛みがあることに気づきました。
いきなり気づくから厄介なんです。練習前後は痛みを感じません。大抵、「朝起きたら痛い!」ということになります。
足裏、ふくらはぎの筋肉が硬くなっていて、アキレス腱に強い痛みが出てしまいました。筋膜リリースを毎日行って、3週間ほどで走れるようになりましたが、それまでは走れないし歩くのも痛いしで、大変な期間でした。
ベアフットシューズを使い始めたら、最初の1ヶ月は距離を半分にするなど、負荷を軽減しましょう。
心肺への負荷が足りないなら、自転車など、足に負担のかからないメニューを加えましょう。
マッサージと確認

マッサージ、筋膜リリースは毎日するのがおすすめ
練習後や入浴時にふくらはぎや足裏をマッサージし、筋肉が硬くなっていないか、痛みはないかを確認しましょう。できれば毎日行うことをお勧めします。
ベアフットラン初心者は足底とふくらはぎに疲労がたまりやすいので、この確認がとにかく大切です。
これは、フォアフットで走った場合に使われる筋肉や腱が未熟なためです。
フォアフットで走る世界のトップランナーのふくらはぎは、ミッドフットで走る日本代表のマラソン選手より発達していることがわかっています。
足底筋膜炎やアキレス腱炎はベアフットランナーに限らず、よくある症例ですので、慣れてからでも、怪我を防ぐためにマッサージによる確認を習慣にしてください。
筋肉に硬い部分がある、痛みがある場合は筋膜リリースが効果的です。
詳しくは、「筋膜リリースで怪我を防ぐ-筋膜炎・腱炎を予防!」で解説します。
硬い部分があっても、痛みにつながる前にほぐしていけば、支障はありません。
ベアフットランの注意点まとめ
- やわらかい地面ばかり選ばない → 柔らかい接地が身につかない
- 砂浜は控えめに → 正しいフォームが身につかない
- 最初は走りすぎに注意 → 最初は筋肉が不足。慣れるまでは抑えぎみに
- 練習前後のマッサージと確認 → 筋肉が硬くなっていないか、痛みはないか確認